迅速かつ正確に建設業許可申請を進めるためには、ぜひ当事務所のアウトソーシングをご活用下さい。
●当事務所の代行サービスの流れについてはこちら
●当事務所の建設業許可申請の価格表はこちら
建設業許可が必要なケースは?
税込500万円(※1)以上の建設工事を請け負う場合は、元請・下請の区別なく、建設業許可を取得しなければなりません。もし無許可で上記金額以上の工事を請負った場合、建設業法第三条第一項の違反として「懲役三年以下、又は三百万円以下の罰金」の対象となります。また、請け負う工事の内容に応じた許可(全29業種)を取得する必要がありますので、既に何れかの建設業許可を取得している場合でも十分注意が必要です。
なお、税込500万円未満の建設工事は”軽微な工事”として、許可がなくても受注することが可能です。
※1 建築一式工事(元請として建物を新築・増改築するような工事)については、税込1,500万円未満の工事、もしくは請負金額に関係なく木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事は許可が不要です。
Q1 本来は税込500万円以上の工事だが、契約書を分けてそれぞれの請負金額を税込500万円未満に抑えれば、許可がなくても受注できるか?
A1 受注できません。一連の工事について正当な理由なく契約書を分割したとしても、各契約の請負金額を合算した金額で判断されます。
Q2 本来は税込500万円以上の工事だが、工事に必要な材料を注文者に直接調達してもらい、その材料の提供を受けて施工することで、当社との請負契約を税込500万円未満に抑えれば、許可がなくても受注できるか?
A2 受注できません。注文者から材料の提供を受ける場合、提供を受ける材料の市場価格と請負金額を合算した金額で判断されます。
Q3 元請業者である自社は許可を持っているが、工事を発注する予定の下請業者が許可を持っていないことが分かった。この場合、発注する立場であれば問題ないか?
A3 許可を持った建設業者が、情を知って無許可業者に税込500万円以上の工事を発注した場合、発注した建設業者も監督処分(7日以上の営業停止処分)の対象となります。許可の有無を確認しなかったことが”情を知らなかった”とはなりませんので、下請発注の際は必ず許可の有無を確認する必要があります。
建設業許可業種(全29業種)
建設工事の種類 | 工事の内容 | 主な該当工事例 |
土木一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む。以下同じ。) | 橋梁、ダム、トンネル工事 |
建築一式工事 | 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事 | 建築確認を必要とする新築及び増改築工事 |
大工工事 | 木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に 木製設備を取付ける工事 | 大工、型枠、造作工事 |
左官工事 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗 り、吹付け、又ははり付ける工事 | 左官工事、モルタル工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | イ 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物のクレーン 等による運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事 ロ くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 ハ 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 ニ コンクリートにより工作物を築造する工事 ホ その他基礎的ないしは準備的工事 | とび工事、足場等仮設工事、揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、杭工事、土工事、コンクリート工事 |
石工事 | 石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の 加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取 付ける工事 | 石積み工事、石張り工事 |
屋根工事 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事 | 屋根ふき工事 |
電気工事 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置す る工事 | 発電設備工事、送配電線工事、ネオン装置工事 |
管工事 | 冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備 を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気 等を送配するための設備を設置する工事 | 冷暖房設置工事、空調設備工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事 |
タイル・れんが・ブロツク工事 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工 作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又は はり付ける工事 | コンクリートブロック積み工事、タイル張り工事、築炉工事 |
鋼構造物工事 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事 | 鉄骨工事、鉄塔工事、屋外広告工事 |
鉄筋工事 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事 | 鉄筋加工組立工事、鉄筋継手工事 |
舗装工事 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石 等により舗装する工事 | アスファルト舗装、コンクリート舗装工事 |
浚渫工事 | 河川、港湾等の水底を浚渫する工事 | 浚渫工事 |
板金工事 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製 等の付属物を取付ける工事 | 板金加工取付工事、建築板金工事 |
ガラス工事 | 工作物にガラスを加工して取付ける工事 | ガラス加工取付工事、ガラスフィルム工事 |
塗装工事 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工 事 | 塗装工事、ライニング工事 |
防水工事 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工 事 | アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事 |
内装仕上工事 | 木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、 カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事 | インテリア工事、天井仕上工事、内装間仕切り工事 |
機械器具設置工事 | 機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機 械器具を取付ける工事 | プラント設備工事、運搬機器設置工事、集塵機器設置工事 |
熱絶縁工事 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事 | 熱絶縁工事、断熱工事 |
電気通信工事 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情 報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事 | 有線電気通信設備、無線電機通信設備工事、データ通信設備工事 |
造園工事 | 整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地 等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植 生を復元する工事 | 植栽工事、公園設備工事、緑化工事 |
さく井工事 | さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工 事に伴う揚水設備設置等を行う工事 | さく井工事、観測井工事、井戸築造工事 |
建具工事 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事 | 金属製建具取付工事、サッシ取付工事 |
水道施設工事 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を 築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設 備を設置する工事 | 取水施設、浄水施設、配水施設工事、下水処理設備工事 |
消防施設工事 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要 な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事 | 屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事 |
清掃施設工事 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事 | ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
解体工事 | 工作物の解体を行う工事 | 工作物解体工事 |
【業種の参考資料リンク:国土交通省HP】
(参考)建設工事の内容、例示、区分の考え方一覧(平成29年11月10日から適用)
Q4 「建築一式工事」の許可を取得すれば、税込500万円以上の内装工事や大工工事などの建築系の工事を受注することは可能か?
A4 「建築一式工事」の許可があれば建築系の業種を網羅できるという制度ではないため、各専門工事の許可を取得しなければ受注することはできません。「建築一式工事」の許可については、原則として元請の立場で、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を受注する際に必要となる許可となります。
Q5 「電気通信工事業」の許可を取得しているが、設置した電気通信設備の撤去工事の依頼を受けた。この場合、「解体工事業」の許可を持っていなければ受注できないのか?
A5 電気通信設備のみを解体撤去する場合、「電気通信工事業」の許可で受注することができます。建屋等を合わせて解体する場合は「解体工事業」の許可が必要となります。
建設業許可を取得するためには?
許可要件について
〇建設業許可を取得するためには、下記の5つの要件を満たす必要があります。独立して会社を新規設立し、建設工事に関する十分な知識・経験があっても、下記の要件を満たせず許可を取得できないといったケースもありますので、許可の取得の際には、事前の要件確認が必須となります。
~許可要件の詳細はこちら~
・経営業務の管理責任者が常勤でいること
・専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
・請負契約に関して誠実性を有していること
・請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
・欠格要件等に該当しないこと
※東京都知事許可については、上記の他に営業所の独立性も厳しく審査されます。
Q1 経営業務の管理責任者、専任技術者の要件を満たせる人物が見つかったが、今から雇う形でも許可を取得することはできるのか?
A1 申請日時点で常勤の取締役であることが確認できれば、許可を取得することが可能です。健康保険の加入及び役員登記が完了した後の申請となります。
Q2 専任技術者の退職により一時的に許可要件を欠いてしまったが、早急に新任者を雇えば許可を維持することはできるか?
A2 許可要件を欠いているので許可を維持することはできません。一度建設業許可の廃業届を提出し、新任者を雇用した後に改めて許可申請を行う必要があります。許可の空白期間には、税込500万円以上の工事を受注することはできませんので、経営業務の管理責任者、及び専任技術者の退職には十分注意が必要です。
許可の種類について
〇建設工事を請け負う営業所の状況や元請工事における下請発注金額によって、必要となる建設業許可の種類・区分が異なります。
【許可の種類】
★一つの都道府県のみに営業所がある場合・・・都道府県知事許可
★二つ以上の都道府県に営業所がある場合・・・国土交通大臣許可
※施工場所には制限がないため、都道府県知事許可であっても全国で施工が可能です。
【許可の区分】
★元請工事かつ下請発注金額(※1)の総額が税込4,000万円(建築一式工事は税込6,000万円)
以上となる建設工事を請け負う場合・・・特定建設業許可
★上記以外の建設工事のみを請け負う場合・・・一般建設業許可
※1 建設工事に掛かる一次下請業者への発注金額となりますので、資材業者(施工を含まない場合)、警備会社、清掃会社等への発注金額は含みません。
Q3 複数の都道府県に営業所は存在するが、各営業所では見積りまでを行い、契約書の名義を全て東京本社名で契約を締結すれば、東京都知事許可で問題ないか?
A3 国土交通大臣許可を取得する必要があります。契約書の名義人にかかわらず「請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所」は届出が義務付けられている営業所として扱われますので、二つ以上の都道府県に営業所がある場合には国土交通大臣許可を取得する必要があります。
Q4 一般建設業の許可を取得しているが、今回初めて元請として税込7,000万円程度の受注金額が大きい工事の依頼を受けた。一般建設業許可でも受注できる方法はないか?
A4 一般建設業許可であっても、請負金額自体に制限はありません。特定建設業の許可は、元請として受けた工事でかつ、建設工事に掛かる一次下請業者への発注金額の合計が税込4,000万円以上となる場合に必要となりますので、自社の施工比率を高め、資材等を直接調達することで、下請発注金額を税込4,000万円未満に抑えることができれば、一般建設業許可でも受注することが可能です。
許可を取得するまでの期間
〇許可を取得するまでの期間は、申請する行政官庁によって異なります。申請に必要となる書類も多いため、早めの準備が必要となります。
【許可が下りるまでの標準処理期間】
国土交通大臣許可・・・申請書類受付後、120日程度(※1)
東京都知事許可 ・・・申請書類受付後、1か月程度(閉庁日を含まず25日)
神奈川県知事許可・・・申請書類受付後、45日程度
埼玉県知事許可 ・・・申請書類受付後、4週間程度(閉庁日を含まず18日)
千葉県知事許可 ・・・申請書類受付後、45日程度
※国土交通大臣許可については、実際に許可が下りるまでの期間は標準処理期間よりも短くなる傾向にあります。
Q5 申請書類の受付が完了すれば、契約行為を進めて問題ないか?
A5 契約行為を進めることはできません。窓口での申請が受け付けられた場合でも、後日常勤性の確認や営業所の実態調査が行われて不許可になる可能性がございます。許可が下りて初めて契約行為を進めることが可能となります。
Q6 建設業の許可を取得している子会社を吸収合併することになったが、建設業許可はそのまま引き継ぐことはできるのか?
A6 建設業許可は法人単位で与えられているため、合併により法人が消滅する際には、引き継がれることなく建設業許可も廃業となります。合併後に改めて新規申請すると許可の空白期間が発生してしまいますので、存続会社で事前に許可を取得しておくなど、建設会社の合併の際には十分な準備が必須となります。
建設業許可の取得後は何が必要か?
建設業許可の取得後は、許可業者に義務付けられている各種手続(更新申請や変更届等)を期限内に提出するとともに、建設業法の法令遵守(契約書の締結、技術者の配置、帳簿整備等)を徹底していく必要があります。公共性の高い産業である建設業については、監督官庁も厳しく法令遵守を指導しています。
許可取得後の手続き
【更新申請】
建設業許可の有効期限は5年間となります。建設業許可を維持するためには、有効期限内に更新申請を実施する必要があります。更新申請期間内に申請することが原則となりますが、もし申請期間を過ぎてしまっても、許可の有効期限までは申請が可能です。ただし有効期限を1日でも過ぎた場合は許可は抹消となり、改めて新規に許可を取り直す必要がありますので、十分注意が必要となります。
(更新申請期間)
国土交通大臣許可・・・有効期限満了日の3か月前から30日前まで
東京都知事許可 ・・・有効期限満了日の2か月前から30日前まで
神奈川県知事許可・・・有効期限満了日の3か月前から30日前まで
埼玉県知事許可 ・・・有効期限満了日の2か月前から30日前まで
千葉県知事許可 ・・・有効期限満了日の90日前から30日前まで
【変更届】
毎年の決算終了後、及び申請内容に変更があった場合には、期限内に届出を行う必要があります。許可の要件に関わる経営業務管理責任者、専任技術者の変更には、事前に要件をクリアしているか確認するなど特に注意が必要となります。
(決算期後4か月以内)
・決算変更届
(変更後14日以内)
・経営業務管理責任者変更
・専任技術者変更
・令3条使用人変更
(変更後又は該当後30日以内)
・代表者、役員等変更
・商号、所在地、資本金変更
・営業所名称、営業所所在地変更
・営業所新設、営業所業種追加、営業所廃止
・廃業届、業種廃止届
【経営事項審査申請】
公共工事の入札に参加するためには、前提として必ず経営事項審査を受ける必要があります。経営事項審査では、直前の決算日を審査基準日として、「経営状況」「経営規模」「技術力」「社会性」の各項目を審査し、総合評定値(P点)と言われる点数が算出されます。一律に決められた審査基準に基づき、申請した建設業者が公平に審査されるため、総合評定値(P点)は「客観点数」として扱われます。
(経営事項審査の有効期間)
・審査基準日から1年7か月
⇒公共工事を元請として受注するためには、有効な経営事項審査を受けて結果通知書の交付を受けていることが義務付けられています。したがって、常に有効な結果通知書を保持していくためには、毎事業年度ごとに経営事項審査を受ける必要があります。
【指名競争入札参加資格申請】
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。この資格審査にあたっては、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化(総合点数)して、格付けが行われています。「客観的事項」の審査については経営事項審査を受けて算出された総合評定値(P点)が利用されます。したがって、公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査を受審した上で、入札参加を希望する発注機関ごとに、指名競争入札参加資格申請を実施する必要があります。
(指名競争入札参加資格申請の有効期間)
資格申請の有効期間、申請時期、申請方法等は発注機関によって異なります。
(有効期間例)
★国土交通省関東地方整備局(工事)・・・2か年度有効(現在有効な資格は平成31・32年度)
★東京都(工事)・・・2か年度有効(現在有効な資格は平成31・32年度)
★東京電子自治体共同運営(工事)※1・・・直前の決算月(決算日の属する月)の翌月から1年8か月後の月の末日まで有効
※1 東京電子自治体共同運営は、東京都の市区町村組合で構成される共同の入札システムとなります。東京都は含まれません。
建設業法の法令遵守について
建設業は公衆に大きな影響を与える産業となりますので、許可業者には義務が課せられています。建設業法の規定を守らない建設業者には、行政官庁より監督処分が下されるとともに、ネガティブ情報として5年間は処分内容が公表されますので、建設業を営む上で法令遵守は必須となります。
契約書について
建設業の場合、発注者⇒受注者間、元請業者⇒下請業者間で片務的な契約になりやすい業種のため、施工範囲の明確化や言った言わないのトラブル防止のため、建設業法では予め契約内容を書面(※1)に記載して、相互に取り交わすことを求めています。また、契約書面に記載すべき項目も建設業法にて規定されています。
※1 書面契約に代えて電子契約も認められていますが、電子契約の場合は、見読性と原本性の確保が必要となります。原本性の確保については公開鍵方式の暗号化技術を用いたやり取りが必要となります。
【契約書面の取り交わし】
下記のいずれかの方法で適切に契約書面の取り交わしを行う必要があります。事前の書面の取り交わしを行わず、工事完了後に請求書の発行のみで済ませている場合には早急な改善が必要となります。
1.工事ごとに工事請負契約書を取り交わす方法
2.基本事項を記載した基本契約書を取り交わし、工事ごとに注文書・請書を取り交わす方法
3.工事ごとに注文書・請書を取り交わし、基本事項を記載した契約約款をそれぞれに添付する方法
【契約書面に記載する項目】
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期及び工事完成の時期
- 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めを するときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若し くは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額 の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定 方法に関する定め
- 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価 格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容 の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関 する定め
- 発注者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸 与するときは、その内容及び方法に関する定め
- 発注者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方 法並びに引渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
- 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ず べき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その 内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違 約金その他の損害
- 契約に関する紛争の解決方法
Q1 建設工事の受注の際、請負契約書の取り交わしを発注者に求めているが、発注者のフォーマット(物品注文)での発注を求められてしまっている。どうしたら良いか?
A1 書面の取り交わしを規定している建設業法第十九条の規定は「建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。」と規定しており、建設業者ではない発注者にも書面の取り交わしを求めている規定となっています。国土交通省が発行している「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン 」でも発注者の義務として書面の取り交わしを明記しておりますので、この点を発注者の担当者に説明の上、理解を求めていく方法が良いと思われます。
技術者の配置について
建設業許可を受けて建設業を営む場合、建設工事の適正な施工を確保するために、建設業者は工事現場に一定の資格・経験を有した技術者(監理技術者等)を配置し なければなりません。また、公共性のある重要な建設工事(※1)については、工事現場ごとに専任で監理技術者等を配置しなければなりません。
※1「公共性のある重要な建設工事」とは1件の工事が税込3,500万円(建築一式工事については税込7,000万円)以上の公共性のある工事(戸建住宅を除くほとんどの工事が該当)となります。
【監理技術者】
元請工事かつ下請発注金額の総額が税込4,000万円(建築一式工事は税込6,000)以上となる建設工事(特定の許可が必要となる工事)には、監理技術者を配置する必要があります。監理技術者には一級相当の資格を持っている技術者でかつ、有効な監理技術者証を持った技術者を配置する必要があります。
【主任技術者】
上記以外の建設工事については、元請・下請を問わず、主任技術者を配置する必要がります。主任技術者には、一定の資格を持った技術者の他に、実務経験10年以上(指定学科卒業の場合は大卒3年、高卒5年に短縮可)の技術者を配置することが可能です。
Q2 税込3,500万円以上の建設工事には技術者を専任で配置しなければならないとのことだったが、現場に常駐する必要があるのか?
A2 現場の配置技術者に求められる”専任”とは、「他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該建設工事現場に係る職務にのみ 従事すること」を意味していますので、専任期間中は他の工事現場の配置技術者になることはできませんし、営業所の専任技術者が専任性を求められる現場の配置技術者になることもできません。ただし、常駐まで求められる訳ではありませんので、休暇の取得や研修への参加といった短期間工事現場を離れることについては、適切な施工ができる体制を確保し、発注者・注文者の了承を得れば差支えないとされてい ます。
下請契約のルールについて
【不当に低い請負代金の禁止】
注文者が、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を請負人と締結することは禁止されています。
(行為事例1:指値発注)
元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、 下請負人による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合
(行為事例2:歩切発注)
元請負人が、慣例として、一方的に下請負人による見積額の端数を切り捨てる、または一定額の減額を行う場合
(行為事例3:赤伝処理)
元請負人が、下請負人と合意することなく、一方的に提供、又は貸与した安全衛生保護具等に係る費用を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合
【見積条件の提示】
建設業法では、見積依頼にあたっては、契約書面に記載する項目の14項目の内、請負金額を除いた13項目について、できる限り具体的な条件を掲示し、かつ見積に必要な一定期間を設けなければならないとされています。
(見積に必要な一定の期間)
・工事1件の予定価格が 500 万円未満の場合は中1日以上
・工事1件の予定価格が 500 万円以上 5,000 万円未満の場合は中10日以上
・工事1件の予定価格が5,000万円以上の場合は中15日以上
【不当な使用資材等の購入強制の禁止】
注文者が、契約締結後に自己の取引上の地位を不当に利用して、請負人に 使用資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害することは禁止されています。契約締結前に購入先を指定することは問題ありません。